△オゾン層の破壊とは・・・?

「オゾン層の破壊」というのは、現代において重大な問題であり、何回か聞いたことがあるかと思います。
しかし、どうしてオゾン層が破壊されるのか、またどうやって破壊されるのかを説明するのは難しいかと思います。
そこで、EEG講習(?)第一回と題して、オゾン層の破壊の原因とその仕組みについて解説していきます。

オゾン層の破壊に一役買っている化学物質があります。聞いた事があるかもしれませんが、フロンと言います。
フロンは一般に、CFCHCFC等と呼ばれ、前者をクロロフルオロカーボン、後者をハイドロクロロフルオロカーボンと言います
ややこしいので覚えなくてOKですw
まず、このフロンというのは1996年以前に大量生産され、同時に大気中へ大量放出されました。

○フロンの用途

フロンは主に、冷蔵庫やエアコン、またスプレー缶の噴射ガスとして利用されていました。このフロンという物質、ヒトが吸い込んでも全くの無害であるという大きな利点の元で大量使用されていました。
冷蔵庫やエアコンは冷却が必要になります。そのためには冷却するための何かが必要となってきます。こういったものを冷媒と言いますが、その冷媒に使われていたのがこのフロンという物質だったというわけです。
ヒトに悪作用せず、また安定した物質である為に広い用途で使用できるという点で、完璧な物質とまで呼ばれていたようです。

○フロンの性質

フロンは一般に気体(=ガス)で、フロンガスといわれています。
フロンガスは空気より若干重く、また空気中の気体と反応しないために、原形をとどめたまま漂い続けます。
しかし、どんなに重い気体でも時が経つにつれて少しずつ、空気に拡散していきます。という事は、少しずつ上空へと上がって行くという事です。
少しずつ、年月を重ねながら上空へ上空へ進んでいったフロンは、1970年ごろからオゾン層に到達し始めました。(画像は右に続きます→)
○オゾンの性質

あまりにもフロンの事ばかり言っていては、主役のオゾンがかわいそうになってくるので、ここでオゾンの性質を紹介します。
オゾンは淡い青色の気体で、生臭い臭いがするようです。
オゾンには紫外線を吸収するという性質があるため、太陽から降り注ぐたくさんの光線の内、生物に有害な紫外線のみをフィルターのようにブロックします。
そのため、地球には何があってもオゾンが必要なのです。
しかし、オゾンは紫外線を吸収してくれる反面、人体に有害です。地球を守ってくれるという事だけで必ずしも体に良いとは限らないので、吸い込んだりしないで下さいね(笑

○ラジカルというもの

なにやら、わけの分からん言葉が出てきましたが、これを知っておいた方が後の説明で都合がいいので紹介します。
では、塩素という物質を見ながら確認します。
塩素というものは、常に原子が2個くっついた状態で存在します。

しかし、様々な条件によって原子が1個の状態のものが発生する事があります。
こうなると、本来相方の塩素とつないでいたはずの手がブラブラして、相方の塩素の代わりになるものを引き寄せたくなります。というわけで非常に不安定な状態になります。
このように、本来なら余らずにつないでいるはずの手がブラブラの状態になったものを、ラジカルと言います。
ラジカルは、一刻も早く他の物質を引き寄せたいので化学反応が起こりやすく、化学的に活発で反応性に富んでいます。
同じようにして、酸素でもこのようなことが起こります。
酸素も、塩素と同様に原子が2個くっついた状態で存在しています。そんな酸素も、様々な条件によって原子1つの状態が実現されて、ラジカルになります。


○フロンがオゾン層を破壊する理由

一般に、オゾンを破壊すると言っていますが、化学的に言えば、オゾンが分解されるとなります。
オゾンの分解が連鎖的に繰り返されるため、分解された部分が広がり、穴の開いたような状態になります。これがオゾンホールです。
「オゾンが分解される」といいましたが、分解されて何になるのでしょう・・・?酸素です。
オゾンはフロンによって分解されて、酸素になるのです。
その事について、詳しく述べていきます。

フロンは、"ヒトに無害で安定な物質"であるとありましたが、ある条件の下、この性質は打ち壊されるのです!
その原因となりうるもの・・・それは紫外線です。
フロンに紫外線が当てられると、塩素ラジカルを発生します。
この、塩素原子1個の状態の塩素ラジカルがオゾンに触れると、以下の反応によって、一酸化塩素という物質と、酸素ラジカルに分かれます。(ここでいうフロンの化学式は、CCl3Fです)。酸素ラジカルは塩素ラジカルと同様に、原子2個で存在するはずの所を原子1個で存在しているため、非常に不安定で相方を非常に欲しがります。

@

これで、実質的にオゾンはオゾンじゃない物に変わったわけです。という事は、オゾンとしての役割を果たさない。つまり、紫外線を吸収してくれないので、その紫外線はダイレクトに地表に降り注ぐ事になります。
さて、この反応がこれだけで終わればいいのですが・・・

A

何と、@の反応で発生した一酸化塩素は、現在非常に相方を欲しがっている酸素ラジカルと触れる事によって、何と、塩素ラジカルに戻ってしまうのです。
という事は、その塩素ラジカルで@の反応がもう一度繰り返され、それによってAの反応が繰り返され・・・と、超連鎖的に同じ反応が繰り返される事になります。(実際、この反応は塩素ラジカル1個あたり10万回ほど起こるそうです。)
こういった最悪の連鎖反応が広範囲で繰り広げられるために、オゾンは急激に酸素に変わっていくのです。簡単にまとめておくと、下のようになります。



以上が、フロンガスがオゾン層を破壊する仕組みです。
ただ、一つだけお願いがあります。専門用語を嫌いにならないで下さい!色々な専門用語の説明をこれからしていこうと思いますので、そんなにも難しい事ではない事を知っていただきたいと思います。
専門用語も、覚え方次第で自分にとっての素晴らしい知識になります。私も挫折しかけましたが、根気を出せば乗り切れるものなので、是非がんばっていただきたいと思います。 私が言えるような事ではありませんが、是非、お願いします!!

さて、この辺で第一回のEEG講習(?)を終えたいと思います。疑問・質問などがあれば、「雑談の間」の北海道エリアに書き込みお願いします。(もちろん、ラジカルについて聞いて頂いても構いません♪

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